最近わけあってテープエコーをずっと触っていました。 ずっと謎だったWow&Flutter(ワウとフラッター)のパラメータがようやく飲み込めたので記事にします。

Type 190125 BPM 108 Ins 1 Tape Pro

今回は Caelum AudioのTape Proというテープシュミレーターを使って説明します。 理由は、ワウとフラッターを個別に調整できて、しかもかかりがエグいので、 文字と写真で伝えやすいと思ったからです。 では始めます。

ワウとフラッター

Audio 01 Ins 2 Tape Pro




Wow&Flutter ワウフラッターはテープシュミレーターの代表的な効果で、 テープを再生した時の機械の揺らぎを再現したものです。 再生するスピードが周期的に揺らぎますので、音程が揺れます。

Nuendo 1



マニュアルやwikiにはワウは低周期の揺れ、フラッターは高周期の揺れだ。と書かれています。 ちょっと意味がわからないので、サイン波にWowとFlutterそれぞれかけてみましょう。



Nuendo 1

↑上の画像は1khlzのサイン波をスペクトログラムで表したものです。 一切の揺れがないので、一本の横棒ですね。


これにWowとFlutterをかけると↓

Nuendo 1

↑上の画像のように音程が揺れます。

この揺れの周期が遅いものが”Wow”で、早いものが”Flutter”です。

今回説明に使っている”Caelum Audio Tape Pro”では、
・"Wowは”0.1hlz〜10hlz”の範囲
・”Flutterは10hlz〜100hlz”の範囲
上記の中で調整する事ができます。 (1hlzは1秒間に1回の揺れ。10hlzなら10回揺れる) ”Wow”はビブラートのように聞こえますが、”Flutter”の方は”揺れ”というより、ノイジーに聞こえます。
組み合わせて使えばLofi Girlみたいなサウンド出せそうだね。 Sin Ins 1 Tape Pro

使うプラグインによって”Wow&Flutter”の調整幅は違うかもしれませんし、 今回のTape Proのようにもっと細かなエディットができるものもあるかもしれません。 が、今説明した事が理解できていれば、あとは感覚でいけます。

文字数が足りないので、テープシュミレーターの説明と絡めながらTapeProの解説をしていきます。

テープシュミレーターとは

Pexels vova krasilnikov 3339045

テープシュミレーターとは、「テープ」で録音した時の音質の変化を再現できるプラグインです。

テーププラグインは数多くあり、それぞれ様々な特色があります。 有名レコーディングスタジオのデッキを再現した製品もあれば、 再現できるテープの種類が多い製品などもあります。

また、再現だけではなく、テープ独特の”揺れ”やノイズの量、テープの回るスピードや、機材の経年劣化の度合いなど、自分好みに音質を調整する事ができます

実機さながらの操作性にこだわったものもあれば、プラグインならではの自由度の高い設定ができるものもあります。 Caelum Audio Tape Proは後者です。

サチュレーション

Sin Ins 1 Tape Pro

サチュレーションはテープシュミレーターの効果の代表のひとつで、 簡単に言えば、音を歪ませることによって倍音を付加させます。



Nuendo 1

Caelum AudioのTape ProにはTapeの歪み以外に、5つの歪みタイプがあり、 普通のテープシュミレーターとは違った倍音が得られます。



Nuendo 1

上の画像は”Rectify”というタイプから得られる倍音で、 1枚目の画像の”Tape”より多くの倍音を得られます。

ここまで大袈裟にしなくても、 デフォルト設定のTape Proを通すだけで薄っすら倍音が乗ります。

Nuendo 1

さりげない効果から派手なものまで幅が広いです。

テープエコー

Sin Ins 1 Tape Pro

”Deley”と書いた方が分かりやすいでしょうか?
テープエコーとは、Deleyの種類(今はそうゆう認識)のひとつで、 テープを使ったdeley効果を再現したものです。

Caelum AudioのTape Proの場合、上の画像の赤枠の箇所がディレイを調整するセクションです。

Nuendo 1

テープエコーは基本的にDeleyの音に特徴があり、デジタルDeleyのようにキレイな音ではなく、 ”汚れた” ”少し解像度の落ちた”Deleyサウンドが特徴です。 上の画像のようにディレイ音の高音域が徐々に減衰していくのがテープエコーの特徴の一つです。

再生中にDeleyTimeを変化させ、Deley音に変化をつけたり、 フェードバックさせて延々と鳴らしたりと、かなり変わった音作りが出来るので サウンドエフェクトの制作などにもよく使われます。

ノイズ

Sin Ins 1 Tape Pro

アナログテープのノイズを付加する、”Noise”と書かれたセクションがあります。 大体どのプラグインでもノイズのオンオフや音量の加減ができます。



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Tape Proはノイズのタイプが10個以上あり、それぞれキャラクターがちがいます。マニュアルに「実機のテープノイズを録音した」 と書かれています。



Sin Ins 1 Tape Pro シュミレーションするテープのタイプとノイズのタイプは自由に組み合わせできます。 レコーディング用のテープとカセットテープのノイズを組み合わせたりできるのでちょっと面白いですね。

テープの種類が12個

Sin Ins 1 Tape Pro

Caelum Audio Tape Proはテープの種類が12個あり、"Response"と書かれたセクションで それぞれ選択する事ができます。

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再現方法は、IR(インパルスレスポンス)を収録して再現しているようなので、 完全再現に近い方式です。 その代わり、少しCPUの負荷が高いのですが、現代のPCならば 許容範囲の中に余裕でおさまります。



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ドロップダウンメニューの下段に、”Minimum Phase”と書かれた箇所があります。 テープの種類は上段と同じですが、位相の問題を避けるためにBusやSend用に調整したもののようです。 音響側の私としてはちょっと嬉しい。

Portamento

Type 190125 BPM 108 Ins 1 Tape Pro

謎のツマミがあります。シンセならよく聞く言葉ですが、 テーププラグインにポルタメント?実はこれ結構面白いです。

例えば普通、ディレイタイムを100msから500msに切り替えた場合 瞬間的にパッとディレイタイムが切り替わります。

しかし、このportamentoを「1,000ms」にしていた場合 ディレイタイムが100msから500msに1,000ms(1秒間)かけてゆっくり切り替わります。

段々と再生速度が変わっていくのでユニークです。

他のプラグインでは見た事のない機能なので、珍しい音が作れます。 一例で効果音を作ってみました。(元素材は2mixのインスト)

段々音程が上がっていきますね。
そしてこの音を逆再生して、再生速度を速めるとこうなります。

もはや原型は一切なく、「ワイプアウト」などに使えそうな効果音が出来上がりました。

せっかくなので、肝心のテープサウンドの方も見てみましょう。

デフォルトを通すだけでも十分

下記の画像は、デフォルトのTape Proオンとオフの時の周波数を比較したものです。

Tape Pro dryWet

グレーの線が素の音で、白い線がTape Proをかけたものです。 高音域は1khlzから緩やかに下降していて、ローエンドも少し削れています。 目で見てわかるほど変化があります。

下の画像は某波社のテープシュミレーターのオンオフの比較です。

Wav DryWet

両者ともデフォルト設定でしたが、実際に聞くと見た目以上の変化があります。

個人的には、繊細なものより大胆に効くプラグインの方が好きです。テンションあがるし。

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おわりに

テーププラグインは何個も所持するようなものでもないので、 体験版などで試した上で買いたいですね。 Caelum Audio Tape Proはデモれたけど、体験版がないプラグインは・・・。なんとかなりませんかね?